PROFILE
デザインの世界に迷って─
原点への回帰
グラフィックデザイン、プロダクトデザイン、そしてコンピュータの世界へ、さらに教育へと様々な経験をしました。いわば、人工的な世界ばかりを徘徊していましたが、自然や農業に触れることで自然の摂理を理解することの意義を知りました。
シュールレアリスム(超現実主義)の余炎が未だ残る時代、そしてサルトル等の実存主義が席巻する時代に、不勉強がたたり、お約束通り大学の受験にも失敗し、神田の古本屋街を当て所もなく彷徨する青春を過ごしました。実存主義が進歩主義の反証として表されたと言っても、今日のヒューマン=センタード・イズム(人間中心主義)と何ら変わることがないようにも思われます。人間を世界や社会の中心に配して、その世界を考え構築する、そして今日AIの席巻を鑑みると、人間中心との概念は何と傲慢な発想でしょうか。自然主義や旧弊なアニミズム(地霊信仰)に未だ依拠している日本では、なかなか受け入れ難い概念です。
芸術分野でも、いわゆるミーイズム(自己中心主義)が、未だ台頭しています。このような概念は、その表現や製品などにも多大な影響を与えています。このような概念を狭義に捉えると、人のためのデザイン、人のための世界ばかりを案じることにも繋がります。このようにして、都市や社会が形成され、結果として様々な弊害や問題が生じています。
人やその世界も、本来は自然界の一部であり、人も絶対的な存在ではないということ、自然と共生することから新たな発想や表現が生まれるということに人々はようやく気づき、SDGsなどとして自然との共生を提唱し始めています。ひとつの解決法は、社会の形成や製品や用具、そのデザイン、そして芸術とは技術やメディアにと留まらず、いかに行動し、表現すべきかとしばし立ち止まり省みることでしょうか。このような思いから、デザイン、つまりは人が手にするもの、形作ることをとは、「デザインの生態系」とは何かと、未だ模索の日々です。